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相双地域の最新施設、景色、食を楽しむ
「ふくしまイノベ サイクルロゲイニング大会」開催

2022年01月12日

2021年11月27日、青空のもと「ふくしまイノベ サイクルロゲイニング大会」が開催された。サイクルロゲイニングは、近年人気急上昇中のスポーツで、地図をもとに設定されたチェックポイントを回り、チームでポイントを競うスポーツだ。ルートの途中に指定された写真を撮影し報告するミッションがあり、より合計点の高いチームが上位となる。移動に自転車を使うので行動範囲が広がり、地域の魅力を存分に満喫できる。本大会では、相馬市、南相馬市、双葉町、浪江町、新地町をエリアに、ロボット・ドローンの一大開発実証拠点や美しい海沿いの風景など、ほかでは見られない施設や景色をチェックポイントに設定。県内外から約130人が「健脚部門」「のんびり部門」に分かれてポイントを競った。当日は、自転車関連の動画を投稿しているYouTuberの愛あむさんがゲストライダーとして参加し、大会を盛り上げた。

自転車で相双エリアを巡り新旧名所、
絶景、ご当地グルメを楽しむ

相馬港駐車場をスタート・ゴールに開催された「ふくしまイノベ サイクルロゲイニング大会」は、走るルートに決まりはない。制限時間内にエリア内のチェックポイントを自転車で巡り、写真を撮り、ポイントを集めて競う。写真は、指定された見本と同じように撮るのがルール。当日、地図が渡されるまでチェックポイントが分からないことから、どのような展開になるか予測がつかない。地図を読む力、作戦立案、体力、チームワークの総合力で宝探しを楽しむスポーツともいえる。

サイクリング専用バスで会場入りする参加者も

県内はもちろん東京、栃木、茨城、宮城から続々とライダーが到着

相双地方初の開催となった本大会は、とことん走り込むチーム向けの「健脚部門」(制限時間5時間)と、ゆったり地域を楽しみたいチーム向けの「のんびり部門」(制限時間4時間)の二部門があり、参加者は、それぞれ2人以上5人以下のチームで挑んだ。

受付に並ぶライダーたち

出場する計41チームの年齢層について大会を運営する郡中トラベルの田巻さんに尋ねると「エントリーは、小学生から70代まで幅広いです」と教えてくれた。チェックポイントに込めた思いもうかがった。

「相双エリアには、昔から地域を見守ってきた神社や灯台、相馬野馬追の神旗争奪戦が行われる『雲雀ケ原祭場』、サーフィンのスポットなど、さまざまな名所があります。また、世界に類を見ない最新技術を導入している施設や東日本大震災・原子力災害伝承館など、復興が進んでいるところも見ていただきたいです。それと、景色はもちろんですが、ソウルフードを食べたり、チェックポイント周辺でのふれあいを楽しんだりしながら回っていただきたいです」

大会を運営した株式会社郡中トラベルの田巻史子さん

チェックポイントは計80カ所。
受付を済ませて作戦会議

午前8時。受付が始まると、さっそく手続きをするライダーが並んだ。チェックポイントは計80カ所。最長片道50キロのロングライド。いったいどんな作戦を立てているのだろう。

元同僚仲間という男性3人チームは、「我々は、優勝よりあさりご飯です!チェックポイントを見たら『あさりラーメン』の店がある。ちょっと気持ちが揺らいでいます(笑)」と話してくれた。同じく元同僚で編成したという男女混合チームは、「今日は、ポイントをあまり考えずに海沿いの景色を楽しみながら走ります」と満面の笑み。夫婦で走るというお二人は、「今、地図を見たばかりでまだ何も決めていません。風が強いので距離を伸ばさず、ほどほどにと思っています」と言いつつ「お昼にオムライスを食べて、その後スムーズにポイントを回れたら優勝を目指します」と宣言! 
晩秋の相馬港は、やる気満々のライダーの笑顔と熱気であふれていた。

オレンジ色のゼッケンは「のんびり部門」の目印。作戦会議「さて、どうする?」

ゲストライダーの愛あむさんが
登場し盛り上がる大会

午前8時半。開会式では、福島イノベーション・コースト構想推進機構交流促進部の穴沢部長が「本日のチェックポイントには、最先端の開発研究拠点などが組み込まれています。みなさまには、美しい風景とおいしいご当地グルメとともに浜通り地域の今を知っていただければと思います」とあいさつ。さらにゲストライダーの愛あむさんが、「開会式前に少し走ったんですけど、とにかく景色が最高!みなさん、今日は一日楽しく走りましょう!」と盛り上げた。

ブルーのゼッケンは「健脚部門」の目印。スタート前にゲストライダーの愛あむさんと

互いを思いやりながら
チームワークでペダルを漕ぐ!

午前9時「健脚部門」が、30分後に「のんびり部門」が元気にスタートした。青空のもと、チームごとにエリア内のチェックポイントを巡るのだが、真っ先に目指したのは、松川浦大橋や日本の渚百選の一つ大洲松川ライン、絶景の松川浦。続いて磯部水産加工施設直売所や新地海釣り公園、福島水素エネルギー研究フィールドなどの新しい施設、さらに地元を見守り続ける神社、灯台、地元のグルメなどを、思い思いに満喫していた。

松川浦大橋を豪快に駆け下りる

大洲松川ライン。左に太平洋、右に松川浦を眺めながら小学生も走る!走る!!

ようやく見つけた竹駒神社。鳥居を入れて撮影

愛あむさん、福島ロボットテストフィールドに到着

お昼は道の駅南相馬でラーメン。食べてボーナスポイントをゲット!

お土産購入でボーナスポイント10点加算!

午後2時半、強風にも負けず
参加者全員が無事ゴール!!

午後になると風が強くなってきた。予定では「健脚部門」の制限時間は5時間、「のんびり部門」は4時間だったが、強風の影響もあり早めにゴールするチームが相次いだ。大会本部は急遽、閉会式を行わない決断を下し、リザルト(結果)については、後日SNS・郡中トラベルのホームページで発表することに。

午後2時半。すべてのチームのゴールを確認すると、田巻さんは「みなさん無事に笑顔でゴールされて、本当にうれしい限りです」と胸をなでおろした。

「海沿いを走る爽快感!最高でした」と仲良し高校生チーム

自転車ロードレースアニメ「弱虫ペダル」のコスプレで参加したライダーも無事ゴール

走り終えた参加者に感想をうかがった。

「風力発電の風車が回っている景色が印象に残っています」「近くに住んでいても行く機会がなかったので、福島ロボットテストフィールドにも立ち寄りました」「会津からの参加です。海を眺めながら気持ちよく走りました」など、満足した様子で達成感に浸りながら快く話してくれた。

真剣に得点を集計するライダーたち

ゲストライダーの愛あむさんも、海沿いを走る今大会がとても気に入った様子だった。

「海沿いは、右も左も全部見える最高に気持ちのいい開けたコース。復興が感じられるポイントでは胸が熱くなりました。お昼は『なみえ焼そば』をいただきました。味がしっかりしていて、炭水化物とタンパク質と塩気もあって、ライド中の補給に良いメニューだと思いました。立ち寄りたいところがまだまだたくさんあるので、また来たいと思っています。今日は、ありがとうございました」

「小学生ライダーもいてアットホームな走りやすいイベントでした」と愛あむさん

時計の前で到着時間を記録。「お昼は海鮮丼を食べました」と笑顔のお二人

普段は河川敷を走っているという親子も無事完走

健脚部門は「チームガチポタ」
のんびり部門は「BiciTomo」が優勝

11月30日、ふくしまイノベ サイクルロゲイニング大会のリザルトが発表された。健脚部門は、合計222点を獲得した「チームガチポタ」、のんびり部門は、合計225点を獲得した「BiciTomo」となった。さっそく、優勝の喜びをうかがった。

「まさかの優勝でみんなびっくりしています。風が強かったので、男5人まとまって風の抵抗を減らしながら走りました。松川浦大橋を渡って灯台を過ぎてからの景色が最高でした。とても走りごたえのあるコースで、相双地域のグルメもいろいろ味わえました」(チームガチポタ代表、松本拓馬さん)

「男女4人、平均年齢61歳でのんびり部門にエントリーしました。風の影響は少なからずありましたが、高得点のポイントをチェックして走りました。優勝を狙っていたのでうれしいです。当日の様子をYouTubeにアップしています。よかったら見てください」(BiciTomo代表、中原悟さん)

浜通り地域には、勿来の関公園から久之浜防災緑地までの総延長約53kmの復興サイクリングロード「いわき七浜海道」や「いわき市自転車道(新川・夏井川ルート)」「松川浦しおかぜルート」のほかにも、吾妻・安達太良・霊山・松川浦まで一度に海も山も楽しめるロングルートなど、素晴らしいコースがまだまだたくさんある。訪ねて交流を深めることが復興を加速させる原動力になる。相双以外の地域へも自転車で出かけたくなる、そんなことを感じたイベントだった。

ふくしまイノベ サイクルロゲイニング大会

公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構では今年度、浜通り地域等(イノベ地域※)に人を呼び込むツアーやイベントを支援する事業「地域価値向上に向けたブラッシュアップ事業」を展開している。その事業の一つとして「ふくしまイノベ サイクルロゲイニング大会」を主催、株式会社郡中トラベルに事業を委託し開催した。
※浜通り地域等の15市町村  いわき市・相馬市・田村市・南相馬市・川俣町・広野町・楢葉町・富岡町・川内村・大熊町・双葉町・浪江町・葛尾村・新地町・飯舘村