オンラインで被爆者健康講話が行われました

長崎大学が被爆者を対象に実施している健康講話が8月18日、当館と長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館をインターネットでつないで行われました。当館館長の高村昇・長崎大学原爆後障害医療研究所教授が講師を務めました。健康講話は新型コロナウイルスの影響で中止され、約2年半ぶりの開催です。
 


 
30人が参加しました。今年度の開講式を行い、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の髙比良則安館長が「健康について楽しく学び、日々の暮らしに役立つ話題を提供していきます」とあいさつ。参加者に被爆体験の継承について協力を求めましました。

高村館長は放射線被ばくと健康影響をテーマに講話しました。暑さが続く中、画面の向こうの参加者に「オンラインですが、久しぶりに皆さんの元気な顔が見られてうれしいです」と語りかけ、健康状態を気遣いました。講話では放射線の基礎知識について説明。レントゲンやCT検査などの「医療被ばく」や、自然や宇宙存在する放射線などを紹介しました。

また、伝承館が行っている地震や津波、東京電力福島第一原発事故に伴う原子力災害という複合災害の事実と教訓を伝える取り組みや、原発事故の影響で現在も3万人以上が避難していること、双葉町で今も住民帰還が始まっていない現状を伝えました。

 

伝承館と長崎原爆死没者追悼平和祈念館は互いの施設で特別展や語り部講話、長崎原爆・平和展を開き、震災や原子力災害、原爆被害の実相を伝えています。

今年8月9日の長崎平和宣言で、田上富久長崎市長はこう締めくくりました。

“長崎は広島、沖縄、そして放射能の被害を受けた福島とつながり、平和を築く力になろうとする世界の人々との連帯を広げながら、「長崎を最後の被爆地に」の思いのもと、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に力を尽くし続けることをここに宣言します。”

東日本大震災・原子力災害伝承館は引き続き、長崎との連携を深め、震災と原子力災害の事実や福島県民の記憶、防災・減災に向けた教訓を伝えてまいります。